あせもには手間が特効薬
暑いというより、暑苦しいとか熱いとか表現したくなるような夏がやって来ました。とたんに「あせもができちゃいました。いい薬ください!」、そう言って外来を訪れる患者さんが急増です。「ハイハイ、これよく効きますよ~」と特効薬を処方できればボクも名医なのですが…。
汗は、肌にとって思いのほか“刺激物”です。厄介なことに、小さいこどもほど体重の割にからだの表面積が広く、簡単に汗まみれになってしまいます。だから、がんばってその刺激を取り除かなくてはいけません。汗ふき、肌着替え、シャワーや沐浴[もくよく]、それらを汗のたまりやすい首の谷間やしわの奥まで意識しながらこまめに繰り返すことです。塗り薬は、そうしたことがしっかりできた上で使って初めて効くのであって、汗をほったらかしのまま上塗りしても効果は期待できません。
おむつかぶれも同じこと。おしっこやうんちをしたらすぐきれいにしてもらわないと、汗と高い気温も相まっておむつの中はムレムレです。“吸収力のよい、肌ざわりの悪くない”紙おむつがクセ物です。布おむつなら、おしっこをすると気持ち悪くて赤ちゃんが泣いて知らせてすぐに交換してもらえるので、内部はいつも清潔です。紙おむつだと、排泄後も不快感が乏しいので泣いて知らせる必要もなく、なかなか交換してもらえません。肌ざわりの悪くないことが、かえって肌をいたわらない結果になってしまいがちです。
あせもにしてもおむつかぶれにしても、まず汗や排泄物の始末にできるだけ手間をかけてから、薬が本当に必要かどうか、考えてみましょう。「その前にやることがある!」、どこかで聞いたような掛け声ですが、あせもやおむつかぶれではその手間が“第一”なのです。