読売新聞「地球を読む」:子宮頸がんの予防のためのワクチンの話
(投稿日: 2018年12月02日)
本日(2018年12月2日日曜日)の読売新聞朝刊の一面、貿易摩擦やパパ ブッシュ死去の記事と並んで、「地球を読む」の欄に、垣添忠生 日本対がん協会会長、国立がんセンター名誉総長が顔写真入りで標記の文章を寄稿されています。第二面にまで及ぶ力のこもった論説です。
わが国において、子宮頸がんが毎年多くの女性を患者にさせ、多くの命を奪っていることを説明する冒頭の文章に続いて、「これは日本の医療行政に科学的な視点が欠けているからである。」と断じています。
個人的見解として、と断りを入れながら、子宮頸がんという病気、原因となるウイルス、それに対するワクチンの存在、ワクチンという手段の意義、子宮頸がんに対するワクチンがわが国に導入されて以降現在に至るまでの経緯、そしてこれからの展望を、わかりやすく丁寧に解説してくださっています。
確かにそうだなと膝を打ったのは、第二面の最初、「HPVワクチンを打った後に、全身の痛みなどを訴える女子が相次いだが、ご家族も含め、本当につらい出来事だったと思う。」というくだりです。これに引き続いて、”打った後に”と”打ったために”との違いも説明していますが、まずは、そういった痛み等で今なお平穏な日常生活が取り戻せていない女の子たちへの思いやりも伝わってきます。
”HPVワクチンを打った後に”生じた症状に苦しむ女の子たちに寄り添う、という姿勢はもちろん大切です。同時に、毎年子宮頸がんで奪われている千人単位の命にも寄り添う気持ちを忘れてはいけません。ワクチンでその命が救えるのであるならば、なおさら、情も大切にしつつ、科学的に議論を深めて、次の行動を模索していくことが不可欠です。
※追記(2018/12/3)
読売新聞の英語版、The Japan News(Web版)に、英語で上記の論説が掲載されていました。
INSIGHTS into the WORLD / A closer look at cervical cancer vaccine
心から同感してます。
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情報操作です。