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第11回 勉強会:HPVワクチン、賛成/反対よりもまず科学的理解を!

 8月4日土曜日、名古屋市大の公衆衛生の教授、鈴木貞夫先生をお招きして、第11回の勉強会を開催しました。かねてより補助金等のない自主運営の勉強会であり、センシティブなテーマであることから、会自体はもとより、鈴木先生にも余計なご迷惑がかからないようにということで、共催、協賛は募らず、完全に参加費のみを頼りにしての開催でした。このため、事前登録2500円、当日3000円という、映画を観に行くよりも断然高い120分の会の設定でありました。が、県内外より様々な職種の40名がお集まりくださいました。

 ワクチン推進!という趣旨の会ではなく、HPVワクチンを科学的な視点で知る、ということが目的でした。あの騒ぎの中で実施された調査であることから、症状がある方ほど積極的に回答する可能性もあり、有意差を持って一定程度のリスクが示される可能性も事前には想定していた、と鈴木先生はおっしゃっていました。

 あの「打ったらこうなりました!」という衝撃的な映像で始まったHPVワクチンをめぐる騒動は、感情論が先行し、それにとりつかれて硬直化してしまった5年間であったと思います。しかし、「打ったらこうなった」という前後関係はあるが、「打ったからこうなった」「打つと一定の確率でこうなる」という因果関係を示す、誰もが理解し納得できる科学的な情報に接することがない5年間でもありました。

 そのような中、この2月に、鈴木先生らによる、”No association between HPV vaccine andreported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results ofthe Nagoya study“という論文が英文誌に掲載されました。

 あの映像が出た際には、マスコミが競うようにこれでもかこれでもかと報道をしましたが、この3万人規模の疫学研究による科学的データは、ほとんど報道されることはありません。鈴木先生いわく、取材の申し込みがあって受けたのは、ネット関係(m3など)や雑誌関係でパラパラ以外は、テレビ2社(地方局と全国ネット、ただし後者は取材のみでいまだ放映なし)、新聞は皆無だそうです。我々自身が与えられる情報を操作された状態とも言えます。

 そこで、印象や感情論先行ではなく、また賛成・反対の立場も何もなく、科学的にこのワクチンを捉え、議論したいと考え、著者の鈴木先生に講演を直談判したという次第です。

 調査で有無を尋ねた24の症状は、患者の会の提案に沿って、ほぼそれをそのまま質問にした、ということでした。名古屋市や鈴木先生が独自に作成したのではなく、患者の会と共にスタートした、というところに、何か新鮮な思いを感じました。

 鈴木先生は、論文掲載後、10か所くらいで講演してきたそうですが、今回は先生のみで120分時間をとりましたので、一番時間をかけて話ができたと言ってくださいました。区切り区切りで質問はないか確かめながら、随所にエピソードや詳説をはさみながら、講演時間は90分に及びました。疫学的、統計学的な、難しい話ももちろんありましたが、どうにかみんなで頑張って話についていこうと努力しました。最後の30分の全体討論も、どうしたらこのワクチンを推進できるか、ということではなく、このワクチンを巡って何が問題なのか、ということのディスカッションで、いろいろな立場の方々に質疑応答やコメントをしていただきました。

 参加されていた一般の主婦という方から、「今後このワクチンを再開したとして、症状を訴える人が増加することはないのでしょうか?」という質問が出ました。鈴木先生は、「今回の3万人規模から回収された調査の疫学的な分析の結果からすると、増加するとは考えにくい」と回答されました。これが、HPVワクチンのリスクに関する、現時点で最も科学的な回答であると思います。

 名古屋市での調査のような大規模なものは、今後、実施が極めて困難であると思います。講演を聴いて、僕自身、思うところはいろいろありましたが、ネットではうまく伝わらない部分もあります。鈴木先生はお声がけいただければどこへでも、、、というスタンスとおっしゃっていましたので、直接お話をうかがう場を設けていただくのがよいのではと思います。

 論文に対して、オンブズパーソン会議からの見解、というものが出されているそうです。

 近々にこれに対する回答書を提出するので、それでまた何らかの動きがあるかも知れない、とのことでありました。

≪参加者 40名≫

◆ 職種 ◆

小児科医       14
医師(小児科以外)   9
薬剤師         6
看護師         1
企業・会社関係     8
その他         2

◆ 地域 ◆

静岡市        11(葵区 9 駿河区 2)
富士市         8
浜松市         5
藤枝市         2
その他県内       3
県外         11(東京 6 愛知 2 広島/兵庫/神奈川 各1)

◆ 単位 ◆

専門医共通講習    18
生涯教育       15

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