新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (18):海外渡航
(投稿日: 2020年03月16日)
当科では、渡航ワクチン外来なる専門外来を運営しています。開設して7年目に入っています。地域において年々認知されるようになってきており、今では小児科としての受診患者と同じくらい、海外渡航のためのワクチンを接種することを目的としたおとなが来院されます。異動の時期である年度末は例年、渡航ワクチン外来も忙しくなります。
今般、新型コロナウイルスの影響で、小児科としての一般診療の枠を利用される患者さんはだいぶ減っています。コロナに関しては海外の方がより問題が深刻になっているようですし、渡航制限の情報もありますので、渡航ワクチン外来がもっと影響を受けるのではないかと思っていました。が、患者さん、例年と変わりないか、むしろ多くなっています。
渡航ワクチン外来を利用される患者さんの9割が企業からの派遣であるため、今は行けなかったり行きにくかったりしても、また状況が改善したらいつでも行けるように準備を、ということのようです。大変だなあと思います。
一方で、少数派ですが、旅行のためという方ももちろんおられます。その場合は、今は無理しない、今行っても14日間のホテルでの待機となってしまう、入国そのものが難しいらしい、といった理由でキャンセルの連絡をいただく、あるいは外来に来られてそう告げられて、代わりに先の見通しを相談されていかれることがほとんどです。
今日は、ネパールに向かう予定だった方が、入国のために「コロナに感染しているとは考えられない健康な状態であるという証明」が必要とHPにあるから発行してほしいということで来院されました。が、予約をした段階(2020/3/6)ではそうだったようですが、週末を経て、「コロナのPCR検査の提出」に書き換わっていたそうです。それは、現状の日本ではできないことですので、その旨をお話しし、ご本人も現地で長期停留の可能性もあることを十分に理解されていましたので、「断腸の思いで延期」という結論に至りました。
渡航ワクチン外来を通して、新型コロナ騒動のまた違った側面を垣間見る思いです。
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