新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (26):予測可能であったか?
(投稿日: 2020年03月24日)
今日3月24日の時点で、国内の患者数は1,000名超、死亡者数は50名超、世界の趨勢は患者数30万人超、死亡者数は1万5千人に迫らんとしています。当初は中国で猛烈な勢いで流行と被害が拡大しましたが、日本でのクルーズ船のてんやわんやを挟んで、今や欧米諸国が大混乱です。ニュースで見る諸外国の状況は、さながら映画『復活の日』のワンシーンのようです。
こんな現状を、予測できたでしょうか?
2ヶ月前。1月半ば過ぎ。普通に新年会をし、研究会も開催されていました。中国の武漢で何やら怪しげな肺炎の騒ぎが起こっているらしい、といった程度でした。僕自身、局地的なちょっとした騒ぎと、決めつけていました。特に理由はありません。新型のコロナウイルスが原因と判明してからも、SARSやMERSのように、封じ込めがそのうちなされ、消えていくのだろうと、決めつけていました。
1ヶ月前。2月の半ば過ぎ。クルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号における14日間の健康観察期間が一区切りとなり、乗客の下船が始まった頃です。中国では万単位の患者数となっていましたが、日本国内でのクルーズ船以外での患者発生は限定的であり、世界的には全く穏やかでした。この時点で、国内では患者や死亡者が増加しているとはいえ、今程度で何とか持ちこたえている一方、欧米諸国が大混乱に陥っている現況は、全く予測できていませんでした。
世界がコロナでこんなに混乱した状況になることを予測できなかった理由は、「もっと重症化する感染症ではないか」と思っていたからです。クルーズ船内で起こっていた状況からある程度の感染力とは想像できていましたが、思ったよりも軽かったから、もしくは不顕性感染だがその当人にある程度の感染力があるかも知れないから、ウイルスをヒトからヒトへ渡り歩きやすくさせているのではないかと予測します。
日本国内に関しては、もっと患者数が増加して、今頃は指定感染症の扱いを外して市中病院やクリニックで患者対応しなくてはいけなくなっている状況を想像していました。が、静岡県内では県外よりの持ち込み例とみなすことができる3名に感染者数がとどまり、全国的には報告数ゼロの県もいまだに複数あります。これはひとえに、国としての、そして国民全体の、我慢強い行動が土台になっていることと思います。もっと後になって振り返れば、ああすればよかった、こうすればもっとよかった、といった反省点は出てくると思います。が、ここまでの状況としては、まさしく「持ちこたえている」と評するにふさわしいでしょう、特に諸外国との比較では。
もう一点、感染力がすごく強いわけではないのかも知れない、とも思います。だからこそ、マスクの効果に関する議論はさておき、徹底した手洗い、環境整備が有効なのではないかと考えます。日本人が、そうした対策をしっかりとれているからこそ、かなと。
さて、ここから1ヶ月、2ヶ月先をどう予測するか。世界的には、東南アジアや中南米、アフリカ諸国にも流行が拡大していくだろうと思います。こうした国々に波及した場合、死亡者数の増加がどこまで進むのか、心配です。
国内はどうか。ここまでの1ヶ月間はあっという間でした。じりじりとこんな調子が持続していくのかも知れません。気を緩めたら、一気に患者数増、死亡者数増で、混乱が激化するかも知れません。そうなってしまわないように、あらゆる準備を想定していかなくてはと思います。
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