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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (34):初心とは?

 4月1日、新年度。テレビでは、今年の状況での変則的な入社式のあれこれを映し出していました。

 新入社員へのインタビュー。笑顔で恒例の模範解答(?)。

「今日の初心を忘れずに、
  一社会人として頑張りたいと思います!」

 あくまで推測ですが、きっとこんな気持ちでのコメントでしょう。

「やる気に満ちた
  今日のフレッシュな気持ちを常に胸に抱いて、
   仕事に励みます!」

 30年以上前、国公立大学の入試の第一関門、共通一次試験(当時)をその週末に控えた古文の授業で、室町時代に能楽を大成した世阿弥のこの言葉を学びました。

しかれば、当流に、万能一徳の一句あり。
  初心不可忘。
この句、三箇条の口伝あり。
  是非初心不可忘。
  時々初心不可忘。
  老後初心不可忘。

           (『花鏡』奥段)

 国語科のT先生。共通一次試験を間近にして殺気立つ教室内の空気にも揺らぐことなく、普段通りに授業を進められました。この言葉の解釈が、今も心に残り、この時期を迎えるたびに思い出されます。

「初心とは、芸能の世界で何も知らない、何もできない未熟者であった自分が、芸を身につけたい、うまくなりたいと思って、もがき苦しんで稽古を重ねた、その必死な思いを指したものである。」

 現代で用いられる、「希望に満ち満ちた、光り輝くような」意味ではなく、「ドロドロとした、あるいは深い闇を想起させるような、先々や希望が見えない中であえぐ様、その時の心の内」が本来の”初心”なのであって、その「必死になって頑張って上達していった、そして今に至る、そのプロセスをいつまでも、どんな時も忘れてはならない」ということであると、僕の記憶には刻まれています。

 毎春、病院の新規入職者へのオリエンテーションで一コマいただいている中で、必ずこのお話をしています。

 今、コロナと対峙する中で、我々がそれぞれに体験していること、そのプロセスで感じていることは、まさしくこの難局を乗り越えていくための”初心”ではないかなと思います。この未曽有のできごとの間に自分が考えていたことを後で振り返ることができるようにと思ってスタートした日々の記録が、終息の見通しもつかないままに足かけ3ヶ月目に突入してしまいました。初心に相当する気持ちをいつまで維持していかなくてはいけないのか、いっこうに光は見えません。もがきながら、でもその先で活かせるものをつかめるように、大切に日々を過ごしていかなくてはと思います。

<参考>NHKテキスト View
『世阿弥が生み出した「初心忘るべからず」という言葉の真意』

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