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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (55):静岡県と東京都との違い

(投稿日: 2020年04月22日)

 あくまで個人的な印象、予測ですが。。。

 東京都をはじめ、大阪府や千葉県など、最初に緊急事態宣言が発令された地域では特に、発表されている数字以上にそこここに感染者がいるというのに近い状況なのではと思われます。それは、PCR法による検査の陽性率からもわかります。東京などは、4/18までの約3,200件の検査で39.0%だそうですから、調べたら次々に陽性者、、、の感覚と思います。よく、PCR法の検査の感度は70%程度(本物の陽性者を10名検査すると、7名は正確に陽性と判定するけれども、3例は間違って陰性と判定してしまう)と言われていますから、検査したうちの実際の陽性率は39.0%よりも高く、単純計算では60%弱くらいになるのではないでしょうか。メディアも、流行の蔓延を、陽性率の観点で報じています。

 今後、こうした地域では、症状を表に出さない患者さん=不顕性感染と一般に言われますが、こうしたケースも含めてたくさんの患者さんが出て、一定数の重症の方も出てしまいますけれども、その結果として多くの方々が免疫を持った状態になりながら、流行の蔓延状態の終息が進むと考えられます。

 一方、静岡県や、今日4/22の時点でいまだ検査陽性例がゼロの岩手県などのように、患者封じ込め/水際対策が成功していると言える状況の地域が、このままひとまずの流行の終息を迎えるとします(とにもかくにも迎えたいですけれども)。その場合、東京都などと違って、免疫を持っていない状態の方がたくさん残っている形でのひとまずの終息となります。

 そうすると、新たな感染者が迷い込んできた場合、東京都など集団としての免疫が高まった状態の地域では、その患者から感染が広がる可能性はあまり高くはないことが予想されます。ウイルスにしてみれば、免疫のない、ウイルスを受け入れてくれる/飛び移らさせてくれる人を探すのに苦労する状態だからです。逆に静岡県など、集団としての免疫が高まってはいない状態の地域では、ウイルスにとって、受け入れ先がまだたくさん残っていることになります。

 したがって、いったん流行が収まるとしても、そこまでの経過によって、地域ごと、意味合いがだいぶ異なることになります。いったん収まったとしても、全国一律の体制の緩め方、気の休め方ではいけないのだろうなあと思います。現状からすると、東京都などに比べると、静岡県の方が、患者が増加して医療機関が大変になる程度がマイルドな分、長めの闘いになっていくのかもしれないとイメージすることが求められるのかもしれません。

 今、緊急事態宣言が全国に出されています。これがいつまで続くのか、という見方が大勢と思います。が、この一回ですべてを終息させる、ということは、このウイルスの特性(=感染力がある程度強くて、潜伏期間が長く、大方の患者は症状が軽い)から考えると、なかなかそんな風には問屋が卸さないのではと思います、有効なワクチンができない限りは。

 ある程度締めつけをして、状況が落ち着いたら少し緩めて、また様子を見ながら締めつけて、また緩めて、、、と繰り返しながら、全体的に落ち着いた状態を、それぞれの地域の実態に合わせた形で進めていくことが、社会的、経済的にも落ち込みを最小限にしながら歩んでいく方策ではないかなと、思います。

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