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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (62):造り酒屋の苦悩

(投稿日: 2020年04月29日)

※下方に、ふるさと納税バージョンあり。


 このままの状況が続くと、コロナは下火になっていき、終息すると思われますが、一方で、経済面で、世界的に大変なことになるだろうということは想像に難くありません。

 県内で造り酒屋を営む同級生の社長が、単に「皆が自粛しているから厳しい」というだけではない、奥の深い造り酒屋さんの苦悩を教えてくれました。

☆     ☆     ☆

①イベントの中止や居酒屋さんが店をたたんでいく

 当然、商品の納入先が減ります。

②今年の秋の米

 日本酒の世界はかなり特殊な世界なので、昨年秋の段階で、今年の秋に米の注文をしています(厳密に言うと、一般的な蔵元は、注文量の非常に大きな割合の部分を、昨年秋の段階で、今年の秋に米の注文をしています)。ここで、全農に「米の作付けを減らしてください」と酒造組合が頼んだのですが、全農は拒否しています(理由は”約束だから”)。蔵元は、米の契約数量を買わない場合、多額の違約金を支払うことになります。

③蔵人の雇用

 今でも日本酒造りは、季節雇用の杜氏、蔵人がおります。今年の秋から彼らの大失業問題が発生します。

 これもまた特殊な日本酒の世界なので、一部の蔵元を除き、一般的に今の時期に一年間の生産量を作り終える時期です。まだ数字はわかりませんが、おそらく4月度は、業界全体として売上が4割以上の減少になる思います。これが続けば、ほとんどの蔵元は倒産でしょう。ただし、融資で延命治療がなされるでしょうが、数年後に死んだ時の負債が積み上がることになります。

 まあそこまで行かなくても、売上が仮に半分になるなら、生産量を半分にするのは自然なことです。春の時点では売上前年比100%で想定していたとして、今後売り上げ想定が半分になるなら、とりあえず秋から一年は酒造りを休業する動きは多くなるでしょう。

④飲食店で飲酒をするという行為が習慣(文化?)としてなくなる

 実は、一番心配しているのがこれです。

 コロナウイルスで仮によかったことがあるとすれば、今まで不要だった仕事が顕在化したことだと思います。全員でどこかで集まって会議、みたいなことは遠隔会議に置き換わったり、対面営業などの意義も見直されたり、事務作業もざっくりなくなっても意外と会社が困らなかったりすることはあるかと思います。一昔前の言葉の”事業仕分け”が強制的になされたと思います。

 これが生産性向上につながれば、諸外国との比較で競争力向上や労働時間短縮につながれば、総論とすればよいのでしょう(半面失業率は上がりそうですが)。一方で、その様々な切り捨てられる仕事や生活習慣の一つとして、”飲食店で飲む”とという行為、該当するんじゃないかと思っています。

 もちろん、ヘビーユーザーよりの人の行動パターンは変わりません。ライトユーザーの飲酒離れの加速が進みそうです(「別に歓送迎会とか飲み行かなくていいんじゃね♪」という感じで)。

⑤風評被害

 極端な例ですが。。。

新型コロナウイルス感染症の影響による風評被害について(花の舞酒造株式会社 HP)

『懸命の努力阻むデマ 「社長感染」花の舞酒造被害』(2020年4月18日 中日新聞 朝刊)

※ふるさと納税バージョン。

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