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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (72):目で見る静岡県内の患者発生の推移

(投稿日: 2020年05月09日)

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 静岡県は、今日で検査陽性者が連続8日目でした。連休を挟んでいるとはいえ、この間も検査は実施されていますので、本当にほぼ新規発生がない状態と思われます。

 これまでの県内の検査陽性者73例を、県外で感染したと推定される症例(ピンク)、国外で感染したと推定される症例(水色)、県内で感染したと推定される症例(黄)、感染経路不明の症例(赤)、それに未発症の症例(緑)に分けて、発症日で(未発症の場合は発症日がないので、感染したと推定される日にマーク)並べてみました。

 縦の線で区切られているのは、家族内感染や同僚での感染等、関連性があるまとまりです。縦一列に症例が並んでいる場合は、感染が連鎖していったことを示すと推定されます。横の広がりは、発端の方から複数の方々に感染が伝播していったことを示します。線で区切られたまとまりにおいて、横の広がりが大きな場合、いわゆるクラスター=集団発生、ということになります。

 2月末にダイヤモンド・プリンセス号の関係や海外旅行帰りの方を含む3例の発症が見られた後、3月下旬の連休まで症例なし。ここで、県外からの持ち帰り例と思われる家族および同僚の感染の連鎖があって、県内の陽性例が発見が再開。以後、基本的には県外からも持ち込みとその家族や同僚の中での感染が4月上旬まで見られました。しかし、国外や県外からの明らかな持ち込みはこの辺りまででほぼストップ。4/7に全国的に緊急事態宣言が出されて人の移動が激減しましたので、当然です。

 3月末に症例の発症のピークがあって、4月半ば以降は散発的な発症になっています。4月半ば以降の特長は、感染経路不明例が目立つことです。

 眺めていての印象。

①幸いなことに、一度に10名を超えるような大きなクラスターの発生がなかった。
②次々に感染が連鎖していったように見えるのは、3月下旬の家族および同僚での例が最大。
③多くは発端者から2次、3次感染までで途切れている。

 ①②③いずれも、県民の自制の効いた行動が故と思われ、また③については保健所/行政のフォローへの並々ならぬご努力の賜物と感謝するところです。

 4月下旬に感染経路不明者が目立ったということは、県内に見出されていない感染者が多くいることを示していると考えるべきでしょう。ただ一方で、それが爆発的に増えることなく、ここ8日間、検査陽性者が途絶えていることから、行動の抑制にプラスして、ウイルスの側の感染性、病原性が弱まりつつある印象も個人的には感じています。学級閉鎖をしながら、インフルエンザシーズンが終焉していくシーズン終盤のイメージと重なります。

 まだまだ油断はならない、その通りではありますが、並行して、ここまでの経験を分析して、今後の戦略を練ることに役立てていきたいところです。特に、行動の抑制=営業休止や休校・休園を最小限にして社会機能を活性化させる中で、どうやってウイルスをコントロールしていくか、という方向にしっかりと目を向けていくことが重要です。

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