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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (77):全例検査、念のため。。。

 一部都道府県を残してではありますが、緊急事態宣言が解除されました。

 そんな中、手術患者全員に、コロナのPCR検査を、という動きが一部の施設であると聞きます。

 バリエーションとして、「入院患者全員に」「発熱のある患者全員に」対して、「抗体検査」「胸部CT検査」を、、、などがあるのだそうです。

 手術患者全員に/入院患者全員に検査をしてみたら、思ってもみなかった率で患者/感染の既往のある人が見つかった、という報道/報告があったためと考えられます。

 「念のため」と言うと、とてもソフトに優しく響きます。しかし、言い換えれば、検査をしないでおいて「もし何かあったらどうするんだ」「絶対に感染していないと言い切れるのか」「誰が責任をとるんだ」という、強迫観念、あるいは脅し文句が背後にあるように感じます。

 「予定された(=状態の安定している)手術患者全員に、コロナのPCR検査を実施する」ということを、整理して考えましょう。

◆PCR法の検査の感度は最大でも70%程度だろうと言われている
◆抗体検査も感度はあまり高くはなさそうだ
◆胸部CTでコロナかどうかを判定するわけではない、肺炎の有無を確認してコロナの可能性を拾い上げるのみ

◆静岡県を例にとると、ここまで判明している感染者は350万県民のうち、73名、10倍いても700名、100倍いても7000名、つまり県民1000名をあたって2名患者がいるかどうか、という状態

 仮に、判明している感染者の割合(350万県民のうちの73名=10万名に2名)の100倍の感染者(1000名に2名)が実はいたと仮定して、その率の流行が今一気に起こっているという想定で、手術をする患者全員にPCR法の検査を実施したとします。そうすると、1名の感染者を見つけるのに、500名の患者を検査することになります。年間、どれだけの手術件数がその施設であるのでしょうか。

 しかも、検査が陽性者を的確に見出せる感度は最大で70%です。3名の陽性者のうち1名は見逃します。とすると、実際には1名の感染者を見つけるのに、750名を検査することになります。

 抗体検査や胸部CTは、コロナの患者を見つけ出すにはもっと感度が悪いと考えられますので、もっともっとたくさんの患者を検査して、ようやく1名の感染者にあたるかも知れない、、、というレベルです。

 しかもしかも、コロナを疑わせる症状・所見のない患者を対象にしようとしています。不顕性感染のことを心配しているのだと思いますが、感染者である確率は十分に低いわけです。⇒ 感度70%の検査に振り回されてしまう程度の総合的な診断能力なのか、ということです。

 しかもしかもしかも、現在の静岡県には、もうほぼ2週間≒ほぼ潜伏期間に相当する期間、新規の検査陽性者が出ていない、つまり巷には患者がほぼいない状況です。

 、、、としたら、1名の感染者を見つけ出すのに必要な検査対象者は数千名以上ではないか、、、ということになります。

 実際に見つかっている、ここまでで73名の100倍の感染者が実はいるはずだ、という仮定で計算してこの数字です。すなわち、「念のため」と称して全例に、100%の精度ではない検査を実施することが、どれだけ無駄なことか、という話です。

 こんな低い確率の事象をとりあげて、「もし何かあったらどうするんだ」「絶対に感染していないと言い切れるのか」「誰が責任をとるんだ」とは、果たして、常識的な医療の専門家の判断と言えるでしょうか?

 では、そうして患者の手術をする、その成功率は、日本一なのでしょうか。もしそうならよいのですが、もっと成功率の高い医師や施設が他にあるのなら、なぜ患者のために、「念のため」そこへ患者を転院させないのでしょうか? 日本一の医師や施設と、自分や自施設との成功率の差は、誤差の範囲ということなのでしょうか。

 手術をする手前で感染者であるかどうか、ふるいにかける作業にはゼロリスクを求め、肝心の手術の成功率には誤差も許容する、、、これではあまりにもバランスが悪いと言わざるを得ません。

 我々は、不確実性と共に生活しています。物事がある程度以上に不確実である、明日何が起きるか誰にもわからない、ということを、無意識のうちに受け入れて、日々を過ごしています。コロナ騒動が訪れたとたん、全て確実でなくてはいけない、リスクはゼロでなければいけない、、、そんな社会になってしまいました。

 それによって失っているもの、失われていくであろうものには、ゼロリスク理論をあえてあてはめないようにしているようにしか思えません。残念な社会が深化してしまわないよう、早期に皆が心身ともに元気にならなくてはいけません。

 

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