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新型コロナウイルス感染症 COVID-19 (79):ウイルスに色がついていたなら

 当院は、茶市場の隣にあって、新茶の季節の今頃になると、競りも盛んになるし、周囲にあるお茶問屋や工場にも活気が出ます、コロナのなかったこれまでだったら。今年は不明です。

 当院の患者さんにはお茶農家の方々も多く、例年、お茶摘みのこの時期は予約を外してくれという要望も各科であるようです。

 学校が長い期間休みとなっている今の時期、受診に来てくださる子、一人一人に、毎日何やってる?と尋ねています。先日来られた子は、お茶摘みのお手伝いをしていると。素晴らしい職業体験!

 お母さんが、笑いながら写真を見せてくれました。小学生のお姉ちゃん、処理したお茶を種類別に分ける作業を手伝っていたら、マスクをしていたのに、顔がこんなになっちゃった、と。

 あらあら。そりゃ大変だったね。

 ついでにマスクの中までお茶の粉だらけ。苦しかったんじゃないの?

 でもちょっと待って。調べてみるから。。。

 世界的な抹茶ブームで、いかに舌触りのよい、いかにのど越しのよい抹茶の粒子にするか、ということはいろいろと研究されているようです。

抹茶 VS 粉末緑茶 …時を越えた対決…
粉末茶の粉砕方式が粒子径と喉越し感に及ぼす影響

 いわゆる抹茶というものは、10ミクロン(1ミクロンは1ミリの1000分の1の大きさ)レベルであるようです。お手伝いで浴びたお茶の粉は、意図的により細かくしようとしたものではないので、少なくとも10ミクロンよりも小さいということはないでしょう。

 これに対して、

●スギ花粉:30ミクロン
●細菌:1-2ミクロン
●ウイルス:0.1ミクロン

、、、なのだそうです。つまり、お茶の粉は、スギ花粉と同等かそれよりも小さな可能性はあるけれども、ウイルスに比べると100倍以上の大きさ。そして、一般的な不織布のマスクの表面の穴は5ミクロン程度(「2017年1月21日 朝日新聞 Digital」より)。

 すなわち、一般的なマスクは、スギ花粉やお茶の粉は通さないはずだが、ウイルスは通れてしまうメの粗さであるということ。ただしウイルスは、口から飛び出たつば=飛沫、に含まれています。この飛沫とは、定義上、5ミクロン以上の大きさ(「鳥取県のインフルエンザ対策」より)。その大きさと、水分を含んでいることもあって、ウイルス混じりの飛沫はいったんマスクの表面に付着するはずで、そのままウイルスがマスクを通過するわけではないと期待されます。が、やがて時間がたって飛沫自体が乾燥すれば、ウイルスはマスクの穴を通過して内部に入っていける可能性もあります。それだけに、マスクの表面には触らないこと、マスクはこまめに替えることが肝腎。

 マスクをしっかりしていても呼吸ができるのは、マスクが空気の出入り可能な構造をしているからですが、それ以外に装着しているマスクの脇からも出入りがあります。

 今回のお姉ちゃんの場合、10ミクロン以上の大きさのお茶の粉が、5ミクロン程度のマスクの表面の穴を突き抜けたとは考えられないので、恐らくはしっかり着けていたつもりでも脇からマスクの内側に入り込んで、顔についてしまったのでしょう。

 お母さん曰く、作業をする工場の中は、髪の毛の中までお茶の粉が入り込んで頭がお茶の香りになってしまうくらいの環境で、マスクをそれなりにしっかり着けていないと大変なのだと。それでもこんなになってしまう。

 10ミクロン以上の大きさのお茶の粉ですらそうなのだから、お茶の粉よりも小さい場合があるはずのウイルスを含んだ飛沫はなおさら、飛行経路によってはマスクの脇から十分内側に到達できてしまうことになります。

 ということは、ウイルス対策ということを考えた場合、一般的なマスクではしっかりと装着したつもりでも、脇からも表面からもウイルスが侵入する可能性が常にあるということです。「マスクをしていればコロナにはかからない」などということは決して言えないわけです。

 これからの日常生活においては、常にマスクを着けていることがエチケットになるかのようなムードが高まっています。個人的には、

◆マスクを大切に使い過ぎてしまう(不用意に触る、表面が不潔な状態で長時間つけ続ける、など)
◆マスクを過信して対策が不十分になる(手洗いを怠る、洗顔を軽視する、など)
◆マスクでかぶれる
◆息苦しくなる
◆表情を隠してコミュニケーションを希薄にさせてしまう
◆マスクをしていない人を非難するようになる

ことなどを考えると、この人間社会において、少なくとも流行の有無にかかわらずマスクを常時装着するということについては、”感染予防に役立つかも知れないという期待+咳エチケット”といったメリットを、デメリットがはるかに上回るものと思います。

 現状、「マスクという手段を用いて感染予防という目的を果たしたい」という意図が逆転し、手段の目的化によって、監視社会になりつつあることを肌で感じるところです。

 

 

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